第4回:日本酒の"甘い"と"辛い" | とりあえず、日本酒!
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第4回:日本酒の"甘い"と"辛い"

こんにちは。

最近いくら寝ても眠気が取れない、四代目JSB(兄)です。

 

「このお酒は甘口か、それとも辛口か。」

 

何種類かの日本酒を飲み始めると、

コッチは甘く感じたり、アッチは辛く感じたり。

結構そのお酒によって色々と甘辛が違うのが分かるようになります。

そしてだんだんと「私は甘いのがいいなぁ」とか

「日本酒はやっぱり辛口がうまい」とか"好み"が出てきます。

 

じゃあ、自分好みのお酒を選んで買うためには

自分で「甘い辛い」がわかると選びやすくなりますよね??

でもこれが実はすごく難しいのです…。

 

ちょっと知識のある方なら知っていると思いますが、

 

「日本酒度」

 

ってのがラベルや商品説明に書いてあったりします。

で、かなり多くの方がこの「日本酒度」を見て甘辛度を判断しています。

 

+○ …数字が大きくなると辛口。

−○ …数字が大きくなると甘口。

 

という判断基準があり、日本酒特集を組んだ雑誌にも

ヘーチャラで「甘辛は日本酒度で見分ける!」みたいなことが

書いてあったりします。

 

はっきり言います。

 

誤解です。

 

確かに、数値で甘い辛いがわかると大助かりなのですが、

実はそんな単純な話ではないのです。

 

たまに接客していても「コレ、お兄さんは甘く感じるっていうけど、

日本酒度+5って書いてあるから辛口だよね???」って言われるので、

一般的な知識としては間違っていない分、すんごい困ります。

 

まず、この「日本酒度」って何?って話ですが。

これはそもそも、甘辛度を数字で表したものではありません(笑)。

日本酒度計と呼ばれる"目盛付きの浮き"を使って、水との比重を計測。

その目盛の値、つまりは水より重けりゃマイナス、

水より軽ければプラス、という数値なのです。

 

日本酒が水と比べて重いか軽いか、というのは

そのお酒に含まれるアルコールや糖分に関係してきます。

 

まず糖分から見てみましょうか。

 

糖分は水より重いです。

なので「糖分が多い=日本酒度はマイナス=甘口」

あれ?したらマイナスの日本酒度のお酒は甘いんじゃないの??

そうです、その通り。

 

じゃあ「糖分が少ない=日本酒度はプラス=辛口」?

それもおおかた間違ってません…が、ちょっと補足が必要です。

 

日本酒は造られる過程で、

 

デンプン → ブドウ糖(グルコース) → アルコール(エタノール)

※もっと複雑ですが、簡単にしてます。

 

という流れで、アルコールが造られます。

酵母に糖分を食わせるとアルコールを作ってくれます。

だから「糖分が少ない=アルコールが多い=辛口」というイメージです。

ちなみに100%エタノールってのは日本酒度+175らしい(詳細不明)。

 

じゃあ、日本酒度で甘辛がわかるってのはあってるじゃん!!

間違ってないじゃん!

でも、日本酒度が+8とかで甘く感じることもあるのです。

それはこれだけでは説明できませんよね?

 

出来上がった日本酒の中には、まだ糖分が残っています。

しかも糖分と言ってもたくさんの種類があります。

皆さんも聞いたことある名前だと、ブドウ糖やオリゴ糖なんかも

糖分と呼ばれる仲間です。

だからその含有量によっても甘辛は変わってきてしまいます。

 

結論としていえるのは、

 

・日本酒度は甘辛度の絶対的基準にはならない!

 

ってことです。

 

最近の新しいお話としては、

日本酒に含まれるアミノ酸の一種"アラニン"が甘味の要因であるという

新しい研究結果があるそうです(最近ネットで知りました)。

 

医学生時代に習ったのは、

「甘いは味覚だけど、辛いは痛覚だからね」という話。

激辛カレーを食べると、辛いというより痛い…っていうのはコレです。

 

私の短い酒屋経験で話すと、こんなこともありました。

 

普段から辛口系の酒を飲んでいる方は、一般的な辛口くらいでも

「甘い」という方がいたり、甘口好きな方にやや辛口をすすめたら、

「メッチャ辛かった」と言われたり。

 

俗にいう"香り系"と呼ばれるパイナップルとかリンゴみたいな香りのする

お酒をすすめると、僕にはやや辛口でもその方には「甘口でおいしかった」。

香りのあまりしないスッキリ系をすすめたら「結構辛かった」とか。

ちなみに両者ともに日本酒度は+5くらいだったので、

「香り」によっても先入観からか、甘辛の感じ方が違うようです。

 

ちなみに…、

かき氷のシロップに「いちご味」とか「ブルーハワイ」とかありますが、

あれって全部同じ味なのは知っていましたか?

 

…僕はこないだまで知りませんでしたよ〜(苦笑)。

 

あれは色で脳みそが錯覚しているだけで、

実際の味わいはどれも一緒ってことみたいです。

それくらいに人間の舌や脳みそはあいまいなので、

日本酒の甘辛も人によって感じ方が違ってもおかしくないですよね。

 

だから、日本酒の甘辛度はその人の主観でしか判断できないのです。

 

ただ、目安としての「日本酒度での甘辛度」はあってもいいし、

参考にしてもいいと思いますが、しょせん"参考程度"ってことを

念頭に置いて判断してもらいたいのです。

 

こればかりは飲んでみないとわからない、ってのが結論ですが、

甘いとか辛いとか、そんな話を抜きにして楽しんでもらいたいという

田舎の酒屋が言っているだけです(笑)。

 

最近は、日本酒度と酸度を元にした「新甘辛度」なる指標も

提唱されているようですが、ちょっと分かりづらい気もします。

でも、それをイチイチ計算して判断するなんてナンセンスです。

 

ちなみに、私の店のPOPには日本酒度はあえて掲載しておりません。

下の画像がお店で使っている実物のPOPです。

 

 

ちなみにこの『八海山 普通酒』は蔵元HPによると

日本酒度は+5と辛口表記。でも飲むと少し甘口に感じるのです。

 

日本酒度は季節商品だと毎年数値は微妙に違うし、アテにならないし、

最近は"数字で判断して飲んでもらいたくない"という蔵元さんもいて、

蔵からの商品案内にも"非公表"としていることも多くなってきました。

 

だからPOPに書いてあるのは画像のように、

私の利き酒の時に感じたイメージで「やや辛口」とか「極甘口」とか

主観でしか書いておりません。

 

※もちろん日本酒度を聞かれればきちんとお答えします!

※従業員さんには、このことを理解してもらうのが大変なので、

 私が感じた甘辛と数値がさほど相違がなければ、

 「日本酒度」で説明するように伝えてます。

 

そんなわけで、甘い辛いを自分で判断するのはすごく難しいのですよ。

ある程度日本酒を飲みなれてくると、その蔵の特徴や数字の雰囲気で

「あ、これはちょっと辛口くらいかな」とかわかってきますが、

当たることもあれば、はずれることも多々あります(笑)。

 

甘いとか辛いとか、味わいの好みが出てきたら自分で選ばずに

是非、その酒屋の店員さん(理想を言うなら社長さんとか、飲んでいる人)に

聞くと、その人の感じた甘辛を教えてくれますよ〜。

 

僕もお客様に説明するときには、

「このお酒は日本酒度が+○だから、辛口で…」とは言わず、

「日本酒度は+○ってなっているけど、思ったよりも辛く感じないですよ」

とか、実際の飲んだイメージとともにお伝えしています。

 

しつこいくらいにこのサイトでおススメしているのは

ビギナーさんだからこそ、お店の人に聞いたほうがいいのです。

 

だって自分で選んで買ったとはいえ、それがマズかったら

二度と日本酒を飲みたいと思わなくなるでしょう(笑)?

そんな誤解から始まる悲しい想いはしてほしくないのです。

 

僕も全力でお手伝いしますので、

迷ったときにはぜひお声掛けください^^

 

本日も長々とお付き合いありがとうございました!

 

<参考にしたサイト>

 

○おそらく『新政』の佐藤社長のブログ

 http://ameblo.jp/yama-u-suke/entry-10499698086.html

 

○とある居酒屋主任の「山形の酒は俺の嫁」

 http://sp.ch.nicovideo.jp/toaruizakaya/blomaga/ar91001

 

 

 

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